ダニ学の教科書・参考書

文責:島野智之
法政大学 自然科学センター/国際文化学部

【ダニ学(日本語)】


佐々 学(編)1965.『ダニ類―その分類・生態・防除』, 486 pp.,東京大学出版会, 東京.

*日本最初のダニ類の教科書.すべてのダニを網羅し,採集法などにも詳細に解説を加えている.



佐々 学・青木淳一(編)1977.『ダニ学の進歩―その医学・農学・獣医学・生物学にわたる展望』, 602 pp.,図鑑の北隆館,東京.

*『ダニ類』から約10年後に出版されたダニ類の教科書.各亜目の分類についても詳しく書かれている.



佐々 学 (編著) 1984. 『ダニとその駆除 (害虫駆除シリーズ〈2〉) 』, 175 pp., 日本環境衛生センター, 東京.

*古本でなければ手に入らないが,日本ダニ学の創設者のひとりである佐々先生のダニ学概説で,まとまりもよい.



佐々 学 1956.『恙虫と恙虫病』,497p., 医学書院. 東京.

*この時代までの日本のツツガムシとツツガムシ病研究をまとめ,また,研究を始める礎として書かれた大冊.



佐々 学 1959.『日本の風土病』328 pp.,法政大学出版局,東京.

*ツツガムシ病,フィラリア,マラリア,日本住血吸虫,サナダムシ,線虫病など.この時代まで残っていた日本のすさまじい風土病と,著者の海軍の軍医経験を語る.ツツガムシ研究の記述は具体的で引き込まれるので必見.



高田伸弘 1992. 『病原ダニ類図譜』, 216 pp., 金芳堂,京都.

*人体寄生性,または,病原に関わるダニ学(衛生動物学,寄生虫学)には,欠かせない教科書. 



宮村定男 1988. 『恙虫病研究夜話』,185 pp.,考古堂書店,新潟市. 

*世界に先駆けた本邦のツツガムシ研究の壮絶な競争に息をのむ.



SADI組織委員会編 1994. 『ダニと疾患のインターフェース』, 179 pp., YUKI書房,福井市.



SADI組織委員会編 2007. 『ダニと新興再興感染症』, 296 pp., 全国農村教育協会,東京.



江原昭三 1966. 第4目ダニ類(Acari). p.139-194. In:『動物系統分類学(山田真弓 監修),7(中A)』, 307 pp.,中山書店,東京.



江原昭三 2000. クモ形類(Arachnida)・ダニ類(Acari).p.214-220. In:『動物系統分類学(山田真弓 監修),追補版』, 451 pp.,中山書店,東京.ダニ類の分類・系統を知る上で重要な二冊



江原昭三(編) 1980.『日本ダニ類図鑑(江原昭三 編)』, 562 pp.,全国農村教育協会,東京.

*日本唯一のまとまったダニ図鑑. p.491-510ダニ類概説(江原昭三)ではでは,分類体系,採集方法,標本作成方法など,ダニ学の基礎などを学ぶことが出来る.



江原昭三(編・著)1990.『ダニのはなし―生態から防除まで〈1〉』, 229 pp.,技報堂出版,東京.



江原昭三(編・著)1990.『ダニのはなし―生態から防除まで〈2〉』, 223 pp.,技報堂出版,東京.



江原昭三・高田伸弘 (編・著)1992. 『ダニと病気のはなし』, 214 pp.,技報堂出版,東京.

*以上,3点は,近現代のダニ学の主に生態や応用分野についての教科書ともいえるもの.様々なダニが,網羅されており,日本におけるダニ学の広がりがわかる.



江原昭三(編)・真梶 徳純(編) 1996.『植物ダニ学』, 419 pp.,全国農村教育協会,東京.



江原昭三 (編)・後藤哲雄 (編) 2009. 『原色植物ダニ検索図鑑』, 349 pp.,全国農村教育協会,東京.

*植物寄生性ダニ,ダニによるダニの防除,植物に関係するダニなど,農業現場が中心の重要な教科書と図鑑.



市川栄一・吉川翠 1986. 『だれでも簡単にできる家のカビ・ダニ退治法』,207 pp.,主婦と生活社,東京.

*具体的な対策が多い.吉川先生は他にも多くの類書を著されている.



髙岡正敏 2013. 『ダニ病学-暮らしの中のダニ問題』,202 pp.,東海大学出版会,東京.

*被害事例を多く紹介.



青木淳一 1968.『ダニの話―よみもの動物記』206 pp.,北隆館,東京.



青木淳一 1996. 『ダニにまつわる話』207 pp.,筑摩書房,東京.



青木淳一 2011.『むし学』210 pp.,東海大学出版会,東京.

*ミズダニの今村泰二先生,ダニの分類学の初期に関わった岸田久吉先生,クモガタ類の日本の礎をつくった高島春雄先生,森川国康先生の逸話を読むことができる.



青木淳一(編)2001. 『ダニの生物学』, 420 pp.,東大出版会,東京.

*2000年前後のダニ学の進歩のトピックを平易に取り上げてある.『ダニ学の進歩』以後の研究の進展を感じることが出来る.

【ダニ学(外国語)】


Krantz, G. W. & Walter, D. E. (Eds.) 2009. 『A Manual of Acarology: Third Edition』, 816 pp., Texas Tech University Press, Texas.

*ダニ学を目指す者にとって必携の教科書.大判で分厚いが,新しい高次分類体系,各亜目(この本では目),上科への検索表が掲載されている.検索表はひとつの特徴ではなく,常に複数の特徴で検索がなされるように工夫されているので,分類群の特徴もつかみやすい.


Walter, D. E & Proctor, H. C. 2013. 『Mites: Ecology, Evolution & Behaviour –Life at a Microscope, Second edition』, 494 pp., Springer, Dordrecht Heidelberg new York London.

*読み物的な教科書だが,ダニ(mite)の知識が網羅されている必読の書.マダニ類(tick)にも2版で言及した.


Evans, G. O. 1992. 『Principles of Acarology』, 563 pp., CABI, Wallingford.

*ダニ学の教科書としてなくてはならない一冊.ダニ類の比較形態や分類について詳しく書かれているが,生態に関する情報は少ない.


Houck, M. A. (Ed.) 1994. 『Mites: Ecological and Evolutionary Analyses of Life-History Patterns.』, 357 pp., Chapman & Hall, New York and London.

*ダニ学の進化生態学の教科書として少し古いが,全体を見渡すことが出来る.


Wrensch D. L. & Merceses A. Ebber, M. A. (Eds.) 1992. 『Evolution and Diversity of Sex Ratio in Insects and Mites』, 652 pp., Chapman & Hall, New York and London.

*ダニ(mite)の繁殖戦略と系統についての考察が詳しい.


Travé, J., André, H. M., Taberly, G. & Bernini, F. 1996. 『Les Acariens Oribates』, 110 pp., Published jointly by AGAR Publishers and the Société internationale des Acarologues de Langue francaise (SIALF), Wavre, Belgique.(フランス語)

*コンパクトにまとめられたササラダニの教科書.ササラダニの形態については,まとまった教科書がないので重宝する.現在の形態用語の体系を作り上げたGrandjean先生(フランス)のイラストが多数あるので,形態用語の勉強になる.


Hammen, L. V. D. 1980. 『Glossary of Acarological Terminology Glossaire De La Terminologie Acarologique: General Terminology』, 244 pp., Dr.W Junk B.V. Publisher, The Hague.

*ダニの用語について最も詳しく正確な定義付けがある.初心者は,HuntほかのCD-ROMが解りやすい.

【クモガタ綱の参考書】


小野展嗣 2008. 鋏角亜門.p. 122-167. In:『節足動物の多様性と系統 (バイオディバーシティ・シリーズ) (石川良輔 編著・馬渡峻輔 監修・岩槻邦男 監修), 495 pp.,裳華房,東京.

小野展嗣 2002.『クモ学―摩訶不思議な八本足の世界』, 224 pp.,東海大学出版会, 東京.

鶴崎展巨 2000. 系統と分類.p.3-27. In:『クモの生物学(宮下直 編)』, 267 pp., 東京大学出版会, 東京.

*以上,3冊の蛛形綱に関する記述は,蛛形綱全体の中でのダニ類という分類群の性質を理解するという観点から必読.ダニ類の進化や体系を知ることが出来る.


青木淳一 (監訳) 2011. 『クモ・ダニ・サソリのなかま,知られざる動物の世界,7』, 118 pp., 朝倉書店, 東京.

*本書は本来絵本の日本語訳だが,美しい生態写真と詳細な解説は,鋏角類の理解に大きな手助けとなることは間違いない.

【土壌ダニ類の図鑑・図集】


青木淳一 (編著) 2015.『日本産土壌動物 分類のための図解検索 第二版』, 1988 pp. (2分冊),東海大学出版会,東京.

*国内のササラダニ・ケダニなど種レベルで既知種(土壌性のみ)は網羅しており,種の検索だけではなく,最近の分類体系も知ることが出来る.



皆越ようせい 2005. 『土の中の小さな生き物ハンドブック(渡辺弘之 監修)』, 75 pp., 文一総合出版,東京.

*他の図鑑は線画だが,本書は実写なので顕微鏡などで観察するときには,大変に便利.



Karg, W. 1993. 『Raubmilben: Acari (Acarina), Milben, Parasitiformes (Anactinochaeta), Cohors Gamasina Leach』,357 pp. G. Fischer.

*トゲダニ類の分類学には必要.



Weigmann, G. & Miko, L. 2006. 『Hornmilben (Oribatida)』, 520 pp., Goecke & Evers, Keltern.(ドイツ語)

*ヨーロッパのササラダニ種について詳しく網羅されているので,日本の種とヨーロッパの種を比較するなどの場合に便利.



Balogh, J. & Balogh, P. 1992. The oribatid mites genera of the world (2 vols.). 263 pp.+ 375 pp.,Hungarian National Museum Press, Budapest.(英語)

*世界中のササラダニの属までの検索表と図集,これによって世界中のササラダニ属を知ることが出来る.ただし,1992年現在まで.



Hunt, G. S., Norton, R.A., Kelly, J. P. H., Colloff, M. J., Lindsay, S. M., Dallwitz M. J. & Walter, D. E. 1998. 『Oribatid Mites: Interactive Glossary of Oribatid Mites and Interactive Key to Oribatid Mites of Australia(CD-ROM)』, CSIRO Publishing, Victoria. (英語)

*形態用語は,文章による詳細な定義と,重要なものについては走査型電子顕微鏡像があるので,非常に解りやすい.英語でダニを勉強するときの入門としては欠かせない.ササラダニに関するCD-ROMだが,ダニ用語の勉強にもよい.ただし,Windowsの古いOSが必要.



Walter, D. E & Proctor, H. C. インターネット版.『Orders, suborders and cohorts of mites in soil.』

http://keys.lucidcentral.org/keys/cpitt/public/mites/Soil%20Mites/Index.htm

*ソフトLucidをもちいたサーバー上の検索システム.土の中から得られるすべてのダニ類(tick & mite)について,豊富な走査型電子顕微鏡像や線画などを見ながら検索できる,詳細なダニ類用語,および,形態用語が図解されている.

【土壌動物学・日本語】


青木淳一 2010.『新訂.土壌動物学―分類・生態・環境との関係を中心に』, 797 pp.,北隆館,東京.

*1973年に出版された土壌動物についての知識が網羅された教科書.改訂では,筆者も協力させて頂いた.部分的な改訂では,改めきれない部分もあることは避けられないが,やはりいまだに,原点としての価値は揺るがない.



青木淳一 2005.『だれでもできるやさしい土壌動物のしらべかた―採集・標本・分類の基礎知識』, 102 pp.,合同出版,東京.

*最も初歩的,基礎的な土壌動物の採集方法の解説書.土壌動物を環境指標として用いる方法についても簡潔に述べられている.



金子信博 (編著)・布村昇(編著)・長谷川 元洋 (編著)・渡辺弘之 (編著)・鶴崎展巨 (編著), 2007. 『土壌動物学への招待―採集からデータ解析まで(日本土壌動物学会 編)』, 261 pp.,東海大学出版会,東京.

*上記の本よりも,かなり専門的な土壌動物の研究調査法マニュアル.筆者も分担執筆し,ササラダニに関する記述もある.

【学術雑誌(海外主要誌)】


Acarologia (http://www1.montpellier.inra.fr/CBGP/acarologia/

*ダニ学で最も古い国際学術雑誌.1959年にAndré とGrandjeanによって創刊された.一時期,刊行が滞ったこともあったが,近年,インターネット上からのオープンアクセスの電子雑誌として発行されている.



Experimental and Applied Acarology

*Springerから刊行されているダニ学の国際誌.雑誌のタイトルから,実験や応用に関する論文しか掲載されない様な印象もうけるが,それ以外の論文も掲載される.


International Journal of Acarology

*Taylor & Francisから刊行されている.一時期,Acarologiaが刊行されないときは,唯一のダニ学の国際専門誌として学界を支えた.

【以下の書籍より抜粋】
島野智之・高久元(編) 2016. 『ダニのはなし−人間との関わり−』朝倉書店
島野智之 2015. 『ダニ・マニア』八坂書店